
そのなかで、日本国内からは、端的に言うと『裕福な中国人観光客をなんとか誘致できないか?』という案件が各地から寄せられています。
シンプルなものでは『地元観光地情報を北京語に翻訳したパンフレットを、中国の方が喜ぶような内容で作成できませんか?』っていうものから、『作ったパンフレットを来日予定の中国人富裕層へ、ダイレクトに配布できませんか?』というような、高度なマーケティングと独自のルートを用いたものまで、あらゆる要求(ニーズ)が寄せられています。
しかしながら、ボクがこのような案件に関わるときには、クライアントさんには必ず助言することがあるんです。詳細は以下…。
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■目的と手段はシンプルに…
『中国からの観光客をたくさん呼びたい』
これは一見目的のように見えて、実は手段なんですよね。本当の目的は『裕福になった中国人をたくさん地元に来てもらって(手段)、たくさんお金を使って欲しい(目的)』なんですよね。
この辺を見誤ると、後々『中国人の観光客が増えたせいで、○○の問題が増加した』とか、デメリットの方が目立ってしまう結果になりがちです。
そう、これは最初からきちんとした目的を達成するための環境を整えられず(未整備のまま)アクションに落とした結果ではないかとボクは考えます。
(単純に『想像力の欠如したプランニング』と言います)
この場合、例えば『外国人観光客は、現金の持ち出し制限があり、その額は国によって違う(中国人の場合は約30万円)』っていう事前のリサーチが足りなかっただけかも知れませんし、日本人の観光では当たり前とされる暗黙のルールも、外国人には単純に理解・認知されていないだけかも知れないってことです。
■確実に目的を達成したいと思うなら…
『裕福になった中国人をたくさん地元に来てもらって(手段)、たくさんお金を使って欲しい(目的)』
前述のように、日本へ持ち込む現金が制限されている中国人観光客に、気軽にお金を使って貰える手段を整えることと、観光PRを同時に進行させることがこの場合大切です。
長崎では『中国人客は「銀聯」でつかめ 長崎の商店街が電子マネー導入』という例もありますし、取り組んでいる地域は具体的に動いても居ます。
また、日本におけるカードの発行もーーー『三井住友、日本で初の「中国銀聯」カードを発行』ーーー行われるようになったようです。
■種を蒔くだけ蒔いて刈り取らない?
せっかくであれば、種を蒔いたら収穫しないのは損でしょう。
種まきと収穫はあくまでもセットです。いや、収穫するために種まきをする…という当たり前のことを、『予算がないから…』というボクからすればなんともヘンテコな理由で『種まきしかしない』選択肢があまりにも馬鹿げている……
…そんなオーダーがここのところ続いているのでーーーまぁ、その辺が役所的と言えば役所的とも言えなくもないけれどーーー記事にした次第。
ホント、クドいようですけど、『なんの為にそのPRを行うのか?』という本質的な目的は常に意識しておきたいものです。
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■余談:日本へ進出しているアジア系企業さま
日本でビジネスを展開するために、大枚をはたき、面倒くさいビザ取得まで果たして進出を果たしているのに、日本語で書かれた会社概要もホームページも持たない外国企業(特に中国・台湾・韓国企業)…っていうのも考え物じゃないかと後書きで記しておきます。
ビジネス・ローカライズに関心を示さない態度ーーー自国でのブランド力ややり方が日本で通用すると思っている、または、その逆も同じですが…ーーーは、その国では『本気』と捉えられないのは当たり前じゃないかとボクは単純に思うのですがいかがでしょう?
ちなみに、中国では日本企業は『トヨタ』と『ソニー』ぐらいしか一般人には知られてません。<これが現実。
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■参考外部記事リンク:
・『外国人観光客は和食がお好き…アンケート結果で7割超える』(sanspo.com)
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■関連記事:
・アジアビジネスの第二フェーズ完全始動(Work / 仕事カテゴリーの情報として)(12/3/2007)
・『JTBが仕掛ける『JAPANiCAN』で、ようやく日本は観光立国になれるか?』(11/10/2007)
・『銀聯など電子決済カード:12億枚(中国)』(11/1/2007)
・『銀聯カード最新情報』(10/16/2007)
・『カード記事:最近のまとめ』(10/8/2007)
・『中国版デビットカード「銀聯カード」情報の備忘録』(10/4/2007)
・『「観光庁」新設?』(8/23/2007)
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